「わたしは聖書を読んだことがないの。だってカトリックだもん」と、冗談のような話を本当に耳にしたことがあります。悪気はなかったのでしょうが、笑ってはいられないとも思いました。プロテスタントの皆さんは聖書を本当によく読んでおられるからです。
プロテスタントの教会とカトリック教会とのいちばんの違いは、前者が聖書のみを拠り所とするのに対して、後者が、聖書と聖伝(聖なる伝承)との両方を拠り所にしていることにあります。その特徴的な例が三位一体の神への信仰です。三位一体の概念は、聖書には明確に示されていませんが、使徒たちとその後継者たちが聖霊の助けによって深めていった信仰の賜物でした。7つの秘跡についても、同様のことが言えます。
しかし、だからと言って、聖書を軽んじているわけではありません。カトリック教会においても、聖書は大切な信仰の拠り所です。

「この聖なる教会会議(第2バチカン公会議)は、すべてのキリスト信者に、とりわけ修道者に対して、しばしば聖書を読んで『イエス・キリストを知るすばらしさ』(フィリピ3:8)を学ぶように、強く、また特別に奨励する。『聖書を知らないことはキリストを知らないことだからである』。」(第2バチカン公会議「神の啓示に関する教義憲章」25)

 聖書は、イエス・キリストを知るための唯一の書かれた資料です。イエスを知るためには聖書を読まなければなりません。しかし、一人で読んでは分からないことも多いのが実情です。そこで、教会の中で、聖書の勉強を通して福音のメッセージを正しく理解するように努め、イエス・キリストへの信仰を深めることが勧められます。これからも、共に聖書に親しみましょう。

                             主任司祭 千原通明

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