そして、おそらく何にもまして、わたしたちは人類という仲間同士のつながりを、いま一度思い起こさなければなりません。人類は一つです。これが、人類を特別な生き物にしているのです。わたしたちは、過去の過ちを繰り返すような遺伝子に支配されているのではありません。わたしたちは学ぶことができます。選び取ることができます。子どもたちに、共通の尊い人間性を説く物語、戦争を少なくしていく物語、残虐的な行為を絶対に受けいれない物語を語っていくことができるのです。
(「オバマ大統領広島演説」千原訳)
聖書の中で「平和」と訳されるヘブライ語の「シャローム」は、日常のあいさつにも使われることばですが、単に何事も起こらない平穏無事な状態を意味するのではありません。「シャローム」とは、欠けたものが何もない状態、すなわちすべての必要が満たされている状態を意味します。この真の「平和」は神からの賜物であり、私たちは絶えずこの平和の恵みを祈り求めていかなければなりません。また、イエスさまから「平和を作る人は幸い」と呼ばれるように、絶えず努力しなければなりません。この年の平和旬間の中で、あらためて平和を心にとめ、祈っていきたいと思います。
毎年8月6日の「主の変容」から15日の「聖母被昇天」までの10日間を、日本のカトリック教会は「平和旬間」と定め、平和のために祈りをささげるよう呼びかけています。これは、ちょうど広島の原爆投下と終戦の日と重なっています。
これは、1981年に広島の地に降り立ったヨハネ・パウロ2世教皇が「戦争は人間の仕業です」と、全世界へ平和を呼びかけたことに応えるもので、今年で早35年になります。
先日、アメリカのオバマ大統領が広島を訪れ、人類の歴史の中でいかに戦争が悲惨で愚かであったか、そしていかに戦争のない世界をつくり上げるのかを説く、素晴しい演説をしました。